詳細解説: 立体スクロール機能、マルチ棚分類機能
大量の書籍管理もスムーズに。大量の本から簡単に本が見つけ出せる
-Smooth Reader® Ver 2.0-

TRONWARE VOL.134 (2012年4月刊) から一部修正のうえ再掲

Smooth Reader書庫画面の立体スクロール表示
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パーソナルメディアは2010年からいち早く電子書籍のビジネスを始め、iPad版やPDF版の電子書籍を販売してきました。

2011年3月には、高速なページめくりが可能なiPad用PDFリーダーアプリ「Smooth Reader」を発売し、蔵書をスキャナで取り込んで自身で電子書籍化する“自炊”派を中心に、利用の輪が広がっています(*2)。

そしてこのたび、大量の書籍をスムーズに管理できる新バージョン 2.0の発売を開始しました。



本棚の立体スクロール表示

バージョン 2.0の新機能のひとつは「立体スクロール」です。横に長い本棚が、遠近法により傾きをつけて表示され、これを水平方向に自動スクロールさせることができます。本棚の中に並んだたくさんの本の表紙が横方向に流れることにより、少し離れた場所から本の並びを目で追いながら、目的の本を探し出せる表示効果を演出しています。

iPadにはたくさんのPDFリーダーアプリがあります。本(ファイル)の一覧を表示する方法としては、書名を文字でリスト表示するほか、表紙を並べて視覚的に本を探せるようにしたアプリも多くみられます。しかしいずれも、縦に長い本棚の中に左上から順に表紙が並べられていくタイプで、指の上下フリック(はじく操作)やスワイプ(すべらす操作)により、本棚を上下にスクロールしながら本を見つけます。iPadの標準リーダーアプリiBooksも、同様に縦に長い本棚になっています。

iPadのアプリには、あたかも現実世界を扱っているかのような巧みなユーザインタフェースを提供しているものが多いにもかかわらず、現実の本棚は横に長く連なったものであり、縦に長く続く本棚はありません。

遠近法で横に流れる本棚

図書室画面での立体スクロール表示
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そこでSmooth Readerでは、本が増えた場合に本棚が横に伸びていくようにしました。また、スクロール動作には、より遠くに小さく見えた表紙がだんだんと近づき大きくなっていくような視覚効果を持たせました。このため、何百冊もの本が並んだ大きな本棚の中から、目的の本をビジュアルに探し出すことができます。本棚に沿って歩きながら本を見つけ出すという現実世界の模倣は、単に親しみやすいというだけでなく、表紙の絵柄を何となく覚えている本を効率よく見つけ出すための実用的な解にもなっています。

なお、本棚の動きの速度や傾きは、指を置いている位置によって決まります。画面中央が基点となり、中央から離れるほど傾きが急になって速度が増します。立体スクロールが始まるタイミングや指との追従性などは、iPadの「設定」アプリで設定でき、個人の好みに合わせてきめ細やかに調節できるようにしました。このほか、左右方向のフリックやスワイプなどによる通常のスクロール操作も可能です。

マルチ棚分類で書籍管理

もうひとつの新機能「マルチ棚分類」は、1冊の本を本棚内の複数の場所に置いて分類整理する機能です。

たとえば、読みかけの小説であれば、「小説」というジャンルを表す棚と「読みかけ」といった購読状態を表す棚の両方にこの本を置くことができ、どちらの棚を見てもこの本を見つけ出せます。

この「マルチ棚分類」の機能により、さまざまな視点で本を分類整理することができるようになります。

タグによる分類ができる

書籍に棚分類タグを貼る
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棚への分類は、本(PDFファイル)に「棚分類タグ」を貼るだけです。タグを貼ると、そのタグの名前の付いた仕切りの棚に本が格納されます。本を複数の棚に入れるには、その本に複数のタグを貼ります。

タグを貼る操作は、一般には「タギング(tagging)」と呼ばれ、ファイルや情報に短い単語(タグ)を付けることにより情報を整理・検索する手法のひとつです。たとえば写真管理ソフトのタグ付けの機能を使って、旅先のレストランで撮った料理の写真に「2009年」「4月」「春」「名古屋」「ひつまぶし」「イチオシ」のような複数のタグを貼っておきます。いったんタグを貼っておけば、タグをキーワードとして検索することにより、関連するファイルや情報を後から取り出すことができます。

写真をフォルダに入れて整理することもできますが、複数の視点で整理するために複数のフォルダに重複して格納しようとしても、操作が煩雑になりがちです。また、いったんフォルダに入れてしまうと、どのフォルダにしまったかを忘れてしまい、見つけにくくなることもあります。こういった不便さを解消する手法として、今では情報整理のいろいろな場面でタグが使われるようになっています。

本を分類整理する視点は、本のジャンルだけでなく、「新着」「読みかけ」「既読」といった購読の状態、あるいは「人に薦めたい」といった購読後の評価などいろいろあります。ところが、既存のPDFリーダーアプリではフォルダの機能を利用して整理する場合が多く、タギングのように柔軟な分類整理をうまく実現することができません。

フォルダにはない便利さがある

複数の棚に分類された書籍
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この点を解決するのがSmooth Readerの「マルチ棚分類機能」です。

Smooth Readerでは、タグの概念と現実世界の本棚の仕切りとを結びつけ、わかりやすく柔軟性の高い分類整理機能を提供している点に特色があります。

また、新たに取り込んだ本を自動的に「新着」の棚に入れたり、一度開いた本を自動的に「最近読んだ本」の棚に入れたりする「スマートタグ機能」も備えています。表紙をドラッグして本を別の棚に移動し、タグを付け替えることも可能です。


紙をめくる快適な使い心地

新バージョンでも、従来の高速なページめくりの操作性をそのまま引き継いでいます。

Smooth Readerの名のとおり、あたかも本物の紙を滑らせているような自然な使い心地でページをめくり、読書を楽しむことができます。もちろん縦書き表示や見開き2画面表示、リンク先へのジャンプ機能なども搭載しています。

Smooth ReaderのWebサイトにはマニュアルやFAQなどの情報を掲載しているので、あわせてご参照ください。また、簡単なご質問やご要望はTwitter(@Smooth_Reader)でも受け付けています。

当社では、電子書籍による読書がより快適なものとなるように、今後もSmooth Readerの機能強化に向けた技術開発を推し進めていく予定です。