エニアック
世界最初のコンピュータ開発秘話

エニアック

スコット・マッカートニー 著

日暮 雅通 訳

定価 2,090円(本体 1,900円+税)

ISBN 978-4-89362-183-2

四六判 並製

296 頁(口絵 6 頁)

2001年7月 発売

今、明らかにされる世界最初のコンピュータ「エニアック」の誕生秘話

「ノイマン、お前だけは許せない!」
真の開発者エッカートとモークリーを襲った悲劇の連続。
世界最初のコンピュータ開発のすべての名誉を独り占めしたノイマン。 二人はその陰ですべてを失っていく。現代を動かすコンピュータの開発の裏にあったのは、 まるで映画のような、渦巻く人間ドラマだった――。

正誤表


書籍版

定価 2,090円
(本体 1,900円+税)

電子書店版

定価 1,650円
(本体 1,500円+税)

Smooth Reader専用版


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  • 内容紹介
  • 目次
  • 書評
  • 紹介記事

一般にジョン・フォン・ノイマンが「コンピュータの父」と呼ばれるが、実は彼は本当の「父」ではない。その栄誉は、世界初のデジタル式汎用電子計算機を設計・製作した二人の男、ジョン・モークリーとプレスパー・エッカートに贈られるべきであろう。


モークリーとエッカートは、ペンシルヴェニア大学ムーア・スクールで出会い、「汎用電子計算機(コンピュータ)」という画期的な構想を生みだすが、同僚や上司たちからはまったく相手にされなかった。だが時は第二次世界大戦、戦況が悪化する中、ふとしたことからアメリカ陸軍に見出され、資金援助を受けることになる。二人の率いた開発チームが、技術的なハードルやあらゆるトラブルを克服し、作りあげたのが、床面積1800平方フィート、重量30トン、約18000本の真空管を使用した巨大なコンピュータ「ENIAC(エニアック)」だった。


今日では、その全処理能力は小さなピン程度の大きさの集積回路に収まってしまうが、もし、ENIACがなければ、現在に至る技術革新は起こらなかったかもしれない。だが、その偉業が達成された後、開発チームは空中分解し、二人は軍事でも科学でもなく生活にかかわる商業でのコンピュータ活用をめざして世界初のコンピュータ・メーカーを設立する。華々しい未来が開けているかのようにみえた二人に個人的な悲劇が襲いかかる。そして追い打ちをかけるようにして専門家としての挫折に見舞われていくのだった……。


モークリーとエッカートが技術的な困難を乗り越えて伝説的なマシン「ENIAC」を生み出すまでの3年間の開発競争と、「世界初の汎用電子コンピュータ」という輝かしい成功の陰に埋もれてしまった二人をめぐる人間ドラマを描く。


著者:スコット・マッカートニー (Scott McCartney)
Wall Street Journalのスタッフ。 “Defying the Gods: Inside the New Frontiers of Organ Transplants,”(Lisa Drew Books,1994. 『移植 いま何が起きているか』林克己訳、三田出版会、1995)とTed Bartimusとの共著で “Trinity's Children: Living Along America's Nuclear Highway”がある。
訳者:日暮雅通 (ひぐらし・まさみち)
1954年生まれ。青山学院大学理工学部卒。著作権エージェンシー、出版社勤務などを経て、 英米文芸およびテクノロジーの翻訳家に。日本推理作家協会会員。訳書:スティーヴンスン『スノウ・クラッシュ』(ハヤカワ文庫)、ストーク『HAL伝説』(早川書房)、 スモーラン&アーウィット『サイバースペース24時』(エムディエヌコーポレーション)、 サッフォ『シリコンバレーの夢』(ジャストシステム)、スキャネル『パソコンビジネスの巨星たち』 (ソフトバンク)、ヤング『スティーブ・ジョブズ』(JICC出版局) ほか多数。
  • はじめに 思考する人間のゲーム
  • 第1章 先駆者たち
  • 第2章 少年と夢想家
  • 第3章 着実な前進
  • 第4章 仕事にかかる
  • 第5章 五掛ける一〇〇〇は?
  • 第6章 結局、誰のマシンだったのか
  • 第7章 二人きりの再出発
  • 第8章 結局、誰のアイデアだったのか
  • エピローグ あまりにも多くのものが奪われた

  • 原注
  • 謝辞
  • 訳者あとがき
  • 参考文献
  • 索引

各雑誌等で紹介されています。(敬称略。一部引用)


cbook24.com 2001/12/17付

  • COFFEE BREAK
  • 「今、明らかにされる50年前の最高軍事機密。 世界初の電子計算機は床面積1800平方フィート、重量30トンという途方もないものだった!本書はプログラマー、開発者の方だけでなく知的好奇心溢れる方全てにおすすめです。」

Linux Japan 2002年01月号 (五橋研究所)

  • 読書の秋
  • 「……あとは、本書を読んでくれということね。若い人は、知らない話ばかりだと思うし、コンピュータの黎明期にいろんなことがあったのが分かると思うよ。」【中村正三郎】

日経ソフトウェア 2001年11月号 (日経BP)

  • 「発明の歴史をひもとくと,電球のエジソン,飛行機のライト兄弟のように発明家を特定できるものと,自動車や蒸気機関車のようにほぼ同時に複数の人々が実現したものに分かれる。コンピュータはどちらだろうか。……コンピュータ開発の人間ドラマが,この本で読める。」

  • Amazon.co.jpサイトの商品の説明内日経BP企画欄でご覧いただけます。

bk1 2001/10/16付 (コンピュータ→カリスマプログラマー通信)

  • 最初のコンピュータをめぐる3冊の本
  • ……最初の電子計算機開発というストーリーを通して、現在に繋がるコンピューターの歴史を考え、そして今後を省察するには非常に面白い一群の本と出会えたなと思いました。」【方長明、マルチリンガル・プログラマー】

NHK BS-2 週刊ブックレビュー  2001/10/13 放送

  • (これまで書評した本)
  • 「この本は、技術的な事よりも人間ドラマ。普通、電球や電話、飛行機を作ったひとの名前は小・中学生でも知っているが、コンピューターとなると詰まってしまう。ちょっと知っているひとならノイマンの名をだすが、実はそうでないという事が書かれている。後半は、悲劇のどん底でここまで不幸になるかというくらいだが、しかし最後は救われる感じもする。最後までコンピューターがすきだったことだ。この本をきっかけにコンピューターの世界に興味をもってもらえたらうれしい。【坂村健、東京大学教授】」
    http://www.nhk.or.jp/book/review/review/011013.html

学校コンピュータ 2001/09/28 (少年写真新聞社

  • Book
  • 「世界最初のコンピュータは何か」というと、まず「エニアック」の名前が上がりますが、「エニアック」の開発を行った人たちを知っていますか。
  • ……本書は膨大な資料を元に、そんな「エニアック」にまつわる秘話満載のノンフィクションとなっています。 」

DOS/V magazine NETWORK+ Vol.5 (ソフトバンクパブリッシング)

  • BOOK REVIEWS
  • 誰がコンピュータを作ったか?
  • ……裁判の結果がコンピュータ産業に与える影響から分析するなど読み応えも十分。パスカル、バベッジなどの先駆者との違いも明確に分けられており、アンフェアな議論をしている印象はない。
  •  
  • それではなぜモークリーとエッカートは埋もれてしまったのか。それは、…… 」

月刊アスキー 2001年10月号 (アスキー)

  • 最初のコンピュータはこうして作られた
  • ……コンピュータの歴史ものをよく読む人でも判然としなかったと思う”ENIACとEDVAC(今日のコンピュータの元祖と言われる)とUNIVAC(正確にはその前にBINACがある)”の関係もスッキリする。それどころか、エッカートが、日本最初のコンピュータであるFUJICの岡崎文次と全く同じ方法で真空管回路を安定させようとしていたことなども発見できたりする。……【遠藤諭、同誌編集長】 」

日経Linux 2001年10月号 (日経BP)

中日新聞 2001/09/16
  • 読書
  • 「世界最初の電子的コンピュータENIAC開発のドキュメンタリー。 アタナソフの理論にヒントを得、軍部の協力を得て真空管コンピュータを製作したモークリーとエッカートのコンビを主人公として、その栄光と挫折に満ちた生涯を物語る。……」

東京新聞 2001/09/16

  • 読書、新刊抄
  • 「世界最初の電子的コンピュータENIAC開発のドキュメンタリー。アタナソフの理論にヒントを得、軍部の協力を得て真空管コンピュータを製作したモークリーとエッカートのコンビを主人公として、その栄光と挫折に満ちた生涯を物語る。……」

Linux magazine 2001年10月号 (アスキー)

  • 「……冒頭から一気に読ませるヒューマンドキュメンタリーの力作に仕上がっている。」

日経コンピュータ 2001年09月10日号 (日経BP)

Amazon.co.jp 2001/09/03付(本→トップページ→コンピュータ・インターネット)

信濃毎日新聞京都新聞  2001/09/02

  • 読書
  • 説明能力の欠如が生む悲劇
  • 二人の開発者の悲劇を描く
  • ……本書はコンピューター誕生の経過と開発者の失意を追いながら、科学技術が普及する課程での普遍的な命題を浮き彫りにする。……二人の開発者の悲劇は、あまりに偉大な成果物を作り上げてしまったこと自体にあったのかもしれない。」【吉目木晴彦、作家

DOS/V POWER REPORT 2001年10月号 (インプレス)

  • BOOK SELECTION
  • 「コンピュータの出現は、これまでの技術史の中でもっとも興味深いものの一つと言えるでしょう。今月の1冊目は、最初のコンピュータとされる「エニアック」についての本です。
  • ……本書はコンピュータ開発に真正面から向き合う人々の姿をよく表わしているが、一方で、アイディアを形にするタイミングと、その権利を守っていくことの難しさを示した、現在に通じるビジネスの教訓としても意味あるものとなっている。」【編集部】

Windows Start 2001年10月号 (毎日コミュニケーションズ)

  • Books
  • 伝説の「エニアック」をめぐるストーリー
  • ……「エニアック」。これを作り出したものの、軍事機密の陰に伏せられ、“成功”にたどり着けなかったふたりの学者の人間ドラマ。」

日経パソコン 2001/09/03 (日経BP)

  • 新刊BOOKS
  • コンピューターに翻弄された、2人の発明者
  • 誰がコンピューターを発明したかという問題は、長い議論の末、ジョン・アタナソフによる「ABC」が最初と認定された――と理解していたのだが、そう事は簡単ではないらしい。
  • ……コンピューターという魔物が発明者の人生を翻弄し続けたことが実感できるだろう。」【松浦晋也、ノンフィクションライター】

日経サイエンス 2001年10月号 (日経サイエンス)

  • 新刊ガイド
  • 「真空管1万8000本、重量30トンという巨大なコンピューター「エニアック」……謎が多く波乱に富んだ人生をジャーナリストが取材に基づいて描く。」

週刊東洋経済  2001/09/01号 (東洋経済新報社)

  • 新刊短評
  • 「今日のコンピュータは、ノイマン式と呼ばれるが、ノイマンは概念を示しただけで、最初にコンピュータを作ったのはエッカートとモークリーの二人とされている。それがエニアックである。……
    ……それにしても、米国における特許の重要性について改めて考えさせられる。
    本書はあくまでもエニアック側から見たものであるが、アタナソフ側の資料と対比してみるとさらに興味深い。」

週刊アスキー 2001/09/04号 (アスキー)

  • BOOKS
  • 世界初の電子計算機をめぐる、名誉と功績
  • 世界初の電子計算機エニアックは知られているが、発明者や過程は知られていない。本書では、真の発明者ジョン・モークリーやプレス・エッカートが受けた屈辱や、電子計算機の父とされるフォン・ノイマンが、巧妙に名誉を手に入れたことなどがつづられている。」

bk1 2001/08/21付 今日のオススメ

朝日新聞 2001/07/29

  • 読書
  • 考案者を葬ったパワーゲーム
    コンピュータの黎明期については、意外なほど人名が知られていない。……では、最初に考えたのはノイマンなのか。それらの謎の解明も含め、世界最初のコンピューター、エニアックの開発の経緯を豊富な証言や資料などを元にまとめのたが本書である。……米国コンピュータ業界の貪欲さの精神的原典が読み解けるという意味でも貴重な本であろう。さて、後半はまさに悲劇の連続なのだが……」【坂村 健、東大教授】

本書をお読みになった方々にブログやweb上のコラムでご紹介いただいております。





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