日本での書評、メディア紹介

書評

新聞

共同通信配信「ブックマイスター SF」長山 靖生

現代と地続きの近未来

《 中部経済新聞 (有料記事) (2025年12月20日) 》|《 福井新聞 D刊 (有料記事) (2025年12月14日) 》

小説「スノウ・クラッシュ」で「メタバース」という言葉を生み出し、人口地の(AI)社会を先取りしたことで知られるニール・ステイーヴンスンの新著「ターミネーション・ショック」は現代そのものとほとんど地続きの近未来を舞台にした、環境問題SFだ。

雑誌、ムック

東京創元社「紙魚の手帖 vol.26 DECEMBER 2025」(2025年12月11日)

【BOOKREVIEW】[SF] 渡邊 利道

...地球規模でダイナミックに展開する骨大な物語に、さまざまな地域の歴史と風俗が挿入され、コマンチの男の愛読書として『白鯨』が登場するくだりや、女王がロマンスの相手を物色する際のエロティツクな採点ぶりだったりと、華やかで意外性のある細部の豊饒さが強く印象に残る作品。

ネット

THATTA ONLINE(2025年12月8日)

「続・サンタロガ・バリア(第276回)」津田 文夫

『未来省』同様、解説の坂村健が強力に押すCli-Fiというタイプの、SFとしては現実にコミットしすぎていて情報小説の印象が強い1冊。650ページ以上ある。
 スティーヴンスンの博覧強記は、テキサス・オランダ・インドカシミールにニューギニアを舞台にして多数の登場人物が躍動させている。なおかつ、要所要所で中国人の狂言回しをかませて中国というプレイヤーも舞台を動かす力であることも忘れない。

【YouTube】杉江松恋チャンネル「ほんとなぞ」(2025年11月23日)

香月祥宏と杉江松恋の「これって、SF?」2025年11月号その3

『SFマガジン』で書評連載中の香月祥宏さんによるあらすじの紹介と書評

スティーヴンスンはもともと、けっこう綿密な技術描写とか情報量の多い饒舌な文体が特徴ではあるんですよね。この作品でもそれが遺憾なく発揮されていて、むしろダダ漏れに近いような感じ。隣接する分野は全部書く、技術は全部説明するみたいな。

WEB本の雑誌 【今週はこれを読め! SF編】牧 眞司(2025年10月21日)

成層圏に硫黄のベールを張る弾丸

  《 Yahoo!ニュース 転載 》   《 @niftyニュース 転載 》

...本書『ターミネーション・ショック』は、2021年に発表された長篇。二段組みで約六百七十ページというヘヴィ級で、この作家らしく、いくつものエピソードを絡ませ、膨大な情報量をつめこんでいる。

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読書メーター

ターミネーション・ショック

メディア、ブログ紹介

基本読書 冬木糸一(2025年10月31日)

大富豪が成層圏に二酸化硫黄を散布し始めたら何が起こるのかを全世界規模で描き出す気候変動SFの傑作──『ターミネーション・ショック』

数多くいるSF作家の中でもニール・スティーヴンスンはとりわけ大好きな作家のうちの一人であり、読み終えて本作は傑作だと思ったが、一方で誰しもにオススメできる作品でもないというのが正直な感想であった。...特に近年のニール・スティーヴンスン作品の特徴として細部の構想や技術的詳細を念入りに描写していく傾向が発揮されており、物語の本筋だけを追いたい人からすれば「枝葉」の話が多すぎる。一方で、「未だきていない近未来の細部」をどこまでも細かく描写してほしいと考え、愛するタイプのSF読みならば、これほど楽しめる作品もない。

岡本家記録 Bookreview Online 岡本 俊弥(2025年10月26日)

ニール・スティーヴンスン『ターミネーション・ショック』パーソナルメディア

キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』に続く、坂村健が強く推す気候変動SFの大作(2段組680ページ)である。ニール・スティーヴンスンは『スノウ・クラッシュ』の先見性により注目された作家で、抜群のリーダビリティ+饒舌さに定評がある。

club willbe web magazine (2025年10月23日)

新刊(解説)『ターミネーション・ショック』 坂村健さん(東京大学名誉教授/INIAD cHUB機構長)

かつては遠い国の出来事のように感じられた気候変動が、私たちの生活を脅かす現実として、実感されるようになってきたと感じています。...本書は、成層圏に二酸化硫黄を散布して太陽光を遮る「ソーラー・ジオエンジニアリング」という大胆なアイデアを軸に、気候変動がもたらす地政学的な緊張と、人類の未来を壮大なスケールで描いた物語です。

SNS

【X(Twitter)】Empirestar(2025年12月14日)

...地球温暖化が深刻化する現在において、問題に対してある種の解決策と問題提起を行った壮大な設定のSF。677頁二段組+坂村健先生の素晴らしい解説という大著で、登場人物それぞれの思惑が最後に収束していく。

【X(Twitter)】Kiichiro Yanashita (柳下毅一郎)(2025年11月26日)

冒頭が素晴らしい。オランダの女王が空港に着陸しようとしたら滑走路に豚の群が飛び出してきて着陸失敗の大事故になるんだけど、豚の群を追ってた男に救われる。...

【X(Twitter)】中野善夫(2025年11月3日)

地球温暖化に対して早急に対応するために二酸化硫黄を成層圏に散布するという計画を進めるテキサスの富豪とそれに反対する勢力の対立の中で、複数の主要登場人物がそれぞれの立場で問題に立ち向かう話。

【X(Twitter)】冬木糸一(2025年10月28日)

『ターミネーション・ショック』序盤があまりにタルすぎて人にオススメする気になれないのだが笑 これはめちゃくちゃおもしろい気候変動SFだ。AI、ディープフェイク、ドローン、ジオエンジニアリング、気候地政学といった現代の技術・政治的意味について深く向き合っている。

【X(Twitter)】渡辺英樹(2025年10月25日)

気候変動を止めるために巨大な砲身を地中に作り✕✕をガンガン打ち上げるアメリカの大富豪、海水面上昇を防ぎたいオランダ女王、インドと中国の国境で戦うシク教徒など多数の人物が登場し、交錯して結末になだれ込む構成は圧巻。

【X(Twitter)】山岸真(新アカ)(2025年10月21日)

話の核となる設定は温暖化対策として地表に届く太陽光を弱める(大気圏への微粒子散布)というもの(CO2排出削減等は別に必要)。

...じっくり把握や咀嚼をするのはひとまずおいといて(必要ならそれは再読ないし読了後の拾い読み直しのときに)とにかくどんどん読み進むのが吉です。