プロジェクトリーダーから(TRONWARE VOL.49)
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昨年末に開かれたTRONSHOW'97は例年になく盛況で1996年を上回る多くの人々に見ていただいた。盛り上がった原因のひとつは、開発が進展して出展物が評価可能になってきたことがある。まず漢字10万字を扱えるBTRONベースの日本語コンピュータの開発が着々と進んでいることを見ていただいた。漢字の問題は私たちが主張しているだけでなく、世の中でも関心が集まってきている。コンピュータが社会にも生活にも入り込み、実際に多種類の漢字を使う要求が出て来ている。にもかかわらず現在の状況は悪い。漢字が出ない。不満は高まっている。
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次にJavaとITRONを融合させたJTRON。これはネットワークの世界で定評のあるJavaと組込み用として普及しているITRONの互いの利点を活かし、欠点を補い合うものである。TRONは前から閉じた世界ではないが、ここ最近は積極的に他のものとインタフェースを取ろうとしている。Javaとの連携は相乗効果があり、特に意味があると考えている。Javaは将来を嘱望されているだけあってさまざまなユーティリティが日増しに増えており、ユーザーインタフェースも構築しやすい。ところがバーチャルマシン上で動くものなのでどうしても効率が出ない。ITRONは効率は最高水準を行くが、ユーザーインタフェースは不得意である。HMIについてはTRONでも進めているが、組込み機器はBTRONではカバーできないし、HMIサブプロジェクトではユーザーインタフェースのルールを規定しているのがもっぱらであり、これをJavaでインプリメントするぶんには不都合はない。これからも他の良いところは積極的に取り入れていきたいと思う。
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イネーブルウェアシンポジウムTEPS'97は例年とは趣向を変えて、「バリアを越えて楽しむエンターテイメント」をテーマに、音だけで楽しむゲーム、脳性マヒのために肢体が不自由な人々のCG画、視覚障害者のためのゲームなどで大いに盛り上がった。
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「知の開放」展も2ヶ月の開催期間を無事終えて予想以上の人々が集まった。知の開放パビリオンから送られるインターネット放送やCS放送への関心も高く終了が惜しまれるほどであった。TRONの技術を使用した機器もリアルタイムレスポンスを重要視した情報キオスク端末や展示会向けの携帯型ガイダンスシステムなどが活躍した。
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また今春にはトロンプロジェクト国際シンポジウムが開かれる。前号でお知らせしたように「知の開放」展を開催していた関係で時期を変えさせていただいた。IEEE Computer SocietyからITRONハンドブックも出版される。
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TRONSHOW'97やTEPS'97の詳細は本号を見ていただき、新しいうねりを感じとっていただきたい。今TRONは動こうとしている。
坂村 健
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