日本での書評、メディア紹介

推薦コメント

斎藤 幸平さん(経済思想家・東京大学大学院 准教授)

ブックファースト新宿「名著百選2023 私が今年、出会った一冊」フェア(2023年11月11日~12月31日)

迫り来る気候崩壊。熱波、難民、海面上昇などの危機的状況を前に、人類はそれでも争いを続けるのか。
ディストピアでない未来を勝ち取るために、今私たちに必要なのは『未来省』のようなSF小説の想像力である。

書評

新聞

日本経済新聞 未来を夢想するSF 宮本道人 (2024年9月18日)

気候変動フィクションが鳴らす警鐘 環境問題、リアルに切実に

《 日本経済新聞 2024年9月18日付 夕刊 12面 》|《 電子版 (日経IDが必要) 》

2021年に開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)のパネルセッションに、SF小説「未来省」の作者キム・スタンリー・ロビンスンが登壇した。本作は、気候変動の危機に対して国連が「未来省」と呼ばれる機関を組織するという架空の近未来を描いた作品で、バラク・オバマやビル・ゲイツが話題にしたことでも話題となった。こういったテーマを扱うジャンルは「気候変動フィクション」(Cli-Fi/Climate-Fiction)と呼ばれる。

信濃毎日新聞 思索のノート 平⽥ 仁⼦(Climate Integrate 代表理事) (2024年7月14日)

熱中症警報は将来の危機への警鐘 守るべき未来の命、考えたい〈脱炭素の先へ〉

《 信濃毎日新聞 2024年7月14日付 朝刊 》|《 電子版 (会員登録必要) 》|《 Climate Integrate 》

フィクションとはいえ、私たちが対策を怠ったらどんなに恐ろしい世界が待ち受けているのかが非常にリアルに描かれている。また、温暖化が2度近く進む世界では、エアロゾルをまいて人工的に気温を下げたり、溶けた南極の氷の水をポンプでくみ上げたりといった、焼け石に水のような対策に手をつけざるをえなくなることも、異様な現実味を帯びて物語化されている。...

朝日新聞「ひもとく」金森 有子(国立環境研究所 主幹研究員) (2024年4月27日)

環境問題を身近に 関心から行動に踏み出すために

《 朝日新聞 2024年4月27日付 朝刊 読書面 》|《 電子版 (有料記事) 》|《 好書好日 (2024.5.1) 》|《 X (旧Twitter) 朝日新聞読書面 》

人々が行動を変えられず、気候変動問題が解決されない先にはどのような世界が待っているのか。SF小説『未来省』 (中略) は、経験したことのない未来を想像するのに役立つだろう。(中略) 解説でコンピューター科学者の坂村健氏は、これらの問題は「科学技術と理性だけでは解決できない」と指摘している。気候変動問題は様々な思惑が入り乱れ、解決が非常に難しい問題であることを、ずばり言い当てている。...

朝日新聞 朝刊コラム「天声人語」 (2024年4月24日)

春のない未来

《 朝日新聞 2024年4月24日付 朝刊 1面 》|《 電子版 (有料記事) 》
※環境省と気象庁による「熱中症特別警戒アラート」の運用が2024年4月24日から開始

国連の新しい機関「未来省」が2025年に発足する。歯止めのかからぬ地球温暖化に対して、環境工学から法規制までを総動員して取り組む組織だ――と、ここまでは米作家のキム・スタンリー・ロビンスンによるSF小説『未来省』の冒頭である▼小説では、直後にインドを死の熱波が襲う。...

まなび場 天声人語 (2024年6月24日)

SFのような夏が来る

《 朝日新聞 2024年6月24日付 朝刊 19面 》|《 電子版 》
※「天声人語」を題材に学びを深めるコーナー。4月24日の『未来省』を題材にした天声人語に付ける見出しを募集。

今月の優秀作

  • 慣れぬ暑さ 慣れるアラート
  • 夏のち冬ときどき春か秋
  • 夏夏冬冬
  • 春秋蒸発
  • 青い地球の赤い警告

図書新聞 下半期読書アンケート 結城 正美 (2023年12月23日)

《 図書新聞 2023年12月23日 4面 》

結城 正美(環境文学/エコクリティシズム・青山学院大学 教授)

気候危機を緩和する行動へと舵を切ることに意識を向かわせる。

日本経済新聞 朝刊コラム「春秋」 (2023年11月30日)

《 日本経済新聞 2023年11月30日付 朝刊 1面 》|《 電子版 (日経IDが必要) 》
※国連の気候変動対策の会議「COP28」が2023年11月30日~12月12日にUAE(アラブ首長国連邦)で開催

キム・スタンリー・ロビンスンの近未来小説「未来省」は衝撃的な光景で幕を開ける。3年前に米国で刊行、オバマ元大統領やビル・ゲイツ氏も絶賛した本の邦訳版だ。(中略) 小説の中で未来省の設立が決まるのは来年のCOP29。世界の終わりが現実のものとならないよう、人類にはまだできることがあるはずだ。この物語は物語のままであってほしい。

日本経済新聞「目利きが選ぶ今週の3冊」のうちの1冊 小谷 真理 (2023年10月19日)

地球温暖化に向き合う環境SF

《 日本経済新聞夕刊 2023年10月19日付 文化面 》|《 電子版 (日経IDが必要) 》|《 X (旧Twitter) 日経ヨクヨム(朝刊・夕刊) 》

冒頭、巨大な熱波によりインドで約2000万人が熱死する。未曽有の大災害であり、恐ろしい。敏感な読者なら、今年の夏の異常高温や想定外の集中豪雨を思い出すだろう。だが何をどうやったらこうした地球の環境変化を防げるのか。本書はそのヒントとなる環境SF。「地球温暖化」問題に、膨大なリサーチと圧倒的な思弁力で臨んでいる。...

共同通信配信 「ブックマイスター SF」長山 靖生

ひとごとではないドラマ

《 信濃毎日新聞 2023年11月11日付 読書欄 》  《 中部経済新聞 (有料記事) (2023年10月28日) 》|福井新聞 D刊 (有料記事) (2023年10月22日) 》|《 北國新聞 (有料記事) (2023年10月13日) 》

作中、二酸化炭素排出を抑えるためのさまざまな技術が提示されているが、それ以上に重要なのは全ての人間が事の重大さと深刻さを理解し、新たな経済システムを構築できるかだ。しかしそれは可能なのか。人類は間に合うのか。そんなひとごとではないドラマが展開する。...

雑誌、ムック

『SFが読みたい! 2024年版』 (2024年2月刊)

ベストSF2023 海外篇 第9位

ハードSF作家が描く気候変動ものの注目作/経済から農業まで、あらゆる側面を射程に

紙魚の手帖 vol.14 DECEMBER 2023 書評 渡邊 利道[SF]

《 Web東京創元社マガジン 2024年7月8日 》

もはや後戻りできない地点まで来ている地球温暖化の危機という問題意識を、きわめて文学的な方法で突きつけてくる気候変動SFだ。(中略)そんな残酷な世界で、激しいトラウマに翻弄され続けながらゆっくり死へと移行するフランクの最後まで運命に苦しむ姿と、引退後も精力的に活動し「わたしたちは進みつづける」と決然と語るメアリーの強さは等しくあまりにも人間的で、全編にわたって描かれる人間の思惑など完全に超越した自然の厳(おごそ)かな美しさの前にはあまりにも儚(はかな)い。

『S-Fマガジン』 2023年12月号 SF BOOK SCOOP 冬木 糸一

気候変動 VS 人類にド直球で向き合った話題作

連日の猛暑や山火事、水不足など近年実際に災害が増えていることもあって、気候変動をテーマにした小説(Climate Fiction)は欧米でも伸びているが、本作は数あるCli-Fiの中でも特別に話題となった作品だ。

ネット

第十回 日本翻訳大賞 推薦作品リスト 山崎 美紀(2024年2月1日)

政治、経済、宗教、哲学など、さまざまな角度から切り込まれて描かれており、翻訳は相当大変だったと思う。(略) 海外SFを手がける大手出版社からは刊行されなかった。そのあたり日本での市場を分析している坂村健氏の解説も興味深い。また、物語には多少つっこみどころもあるが、その点も坂村氏がフォローしている。

今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する 冬木 糸一(書評家)(2023年12月29日)

『未来省(The Ministry for the Future)』

SFとして僕が今年最も記憶に残ったのは、キム・スタンリー・ロビンスンの『未来省』だった。(中略) 物語は2025年の至近未来からはじまり、気候変動に関するありとあらゆる対策を実施する”未来省”の人々の活躍が描きこまれていく。...

【X(Twitter)】『WIRED』日本版の松島編集長の #おすすめ本 を紹介(2023年11月24日)

【WIRED BOOK GUIDE】『未来省』キム・スタンリー・ロビンスン著

【YouTube】香月祥宏と杉江松恋の「これって、SF?」(2023年10月26日)

2023年10月号 [2分43秒~14分25秒]

『SFマガジン』で書評連載中の香月祥宏さんによる書評

岡本家記録 Bookreview Online 岡本 俊弥(2023年10月8日)

キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』パーソナルメディア

解説で坂村健(翻訳出版を推した)が触れている通り、日本では注目されず棚上げ状態だった。理系+文系の両方を理解するセンスが要求される小説であり、ジャンルSF以外で受け入れる読者が少ない=商業的に難しいと思われたからだという。...

「基本読書」 冬木 糸一(2023年9月22日)

欧米で話題沸騰の気候変動にまつわるすべての領域を描き出そうとした野心的な気候変動SF

キム・スタンリー・ロビンソンは「細部へのこだわりと、世界や社会、人類といった大きなものをまるごと描こうとするヴィジョン」のどちらもを持ち合わせる稀有な作家だが、本作は”気候変動vs人類”という中心テーマに対して、その才能をいかんなく発揮している。...

WEB本の雑誌 【今週はこれを読め! SF編】牧 眞司(2023年9月19日)

気候変動に立ちむかう新技術と経済システム

  《 @niftyニュース 転載 》

作品世界のリアリティ(自然科学面だけではなく社会科学的にも、また登場人物の造型においても)で定評のあるキム・スタンリー・ロビンスンが、2020年に発表した大作...

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未来省(The Ministry for the Future)

ブクログ

未来省(The Ministry for the Future)

メディア、ブログ紹介

デリシャスガーデン あるいは 2050年地球の旅 (2024年11月14日)

キム・スタンリー・ロビンスンの『未来省』とアンドレアス・マルムの『パイプライン爆破法 燃える地球でいかに闘うか』を結びつける”ラディカル派効果”について

ジョナサン・ストラーン編『シリコンバレーのドローン海賊:人新世SF傑作選』には、『未来省』の刊行後に行われたキム・スタンリー・ロビンスンのインタビューが収録されている。そのなかで彼は、『未来省』に描かれた暴力的な抵抗について、以下のように語っている。

logical cypher scape2 (2024年3月14日)

キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』

このため、物語というよりノンフィクションに近い、という紹介のされ方もしている。
実際、事実をベースにしている部分もあり、ノンフィクションっぽいといえばノンフィクションっぽいが、ただ、意外と三人称の節は少なくて(メアリーやフランクが登場するところは三人称)、一人称のクセの強い語りが採用されているところが結構ある。そもそも、次々と語り手が変わっていくという手法自体、ノンフィクションではなくこの作品が小説であることを強調しているとは思う。

遊月つかさ さん(2024年1月25日)

『未来省』の紹介 (TikTok: 2分37秒)

複雑で困難な問題に立ち向かう人類の理性的な努力と、希望的な未来を描いた作品。これからを生きる若者とその家族に読んでほしい。

J-WAVE「JAM THE PLANET」(2024年1月10日)

『未来省』解説執筆の坂村健氏がFM放送 J-WAVE「JAM THE PLANE」の「TODAY’S SPECIAL」のコーナーに出演

"Dr. Pianist" 平田真希子 DMA(2024年1月6日)

書評:The Ministry for the Future (邦題:未来省ーネタバレなし)

2023年に参加した環境関係の学会で沢山の方々に強く勧められました。特に暮れに参加したAGU(アメリカ地球物理学連合)では、著者のインタビューがあり、参加者の多くがこの本について興奮して語り合っていたのが印象的でした。彼らが言うには、この本で出てくる環境科学や解決法が信憑性がある、とのこと。...

Zoomy【読書】今こそ気候変動、地球温暖化の危機を読む(2023年9月22日)

『未来省 (The Ministry for the Future)』キム・スタンリー・ロビンスン著

伝説のSF作家キム・スタンリー・ロビンソンが、今後数十年の気候変動について驚くべきビジョンを描き出した。...

club willbe web magazine (2023年9月21日)

新刊(解説)『未来省』 坂村健さん(東京大学名誉教授)

この度、気候変動に関する現代アメリカを代表するSF作家キム・スタンリー・ロビンソンのThe Ministry for the Future『未来省』の翻訳出版にかかわることになり、その本がやっと出版されました。...

Climate Curation

書籍『未来省(The Ministry for the Future)』 キム・スタンリー・ロビンスン (2024年6月1日)

冒頭、信じられないような描写から始まるのが2020年秋に出版され、欧米においては気候変動対策に取り組む人達の間で大きな話題になったSF小説、『未来省(原題:The Ministry for the Future)』のことを思い出します。..

気候変動、Climate Techに興味を持っている人の間で必読の気候変動SF小説「The Ministry for the Future)」の邦訳『未来省』が9月19日にパーソナルメディアから出版 (2023年8月19日)

この小説は今まで何度となく読むことを推薦され、洋書で読もうとしたものの、600ページ近いボリュームと専門的な情報がところどころに散りばめられていて...