著者紹介 キム・スタンリー・ロビンスン

Kim Stanely Robinson


Kim Stanley Robinson speaking at an event
in Phoenix, Arizona.

Gage Skidmore, CC BY-SA 3.0,
via Wikimedia Commons

1952年3月23日生まれのアメリカのSF作家。

イリノイ州で生まれ、南カリフォルニアで育った。1974年カリフォルニア大学サンディエゴ校卒業、1975年ボストン大学英文学修士、1982年カリフォルニア大学サンディエゴ校英文学博士取得。現在、カリフォルニア州在住。

多くの著書は科学者を主人公とし、科学だけでなく文化的・政治的なテーマを扱っている。特に〈火星三部作〉の『レッド・マーズ』(1992年)、『グリーン・マーズ』(1993年)、『ブルー・マーズ』(1996年)が知られる。2026年に火星に技術者を送り出すところから始まる200年にわたる物語であり、題名の色は、火星が赤い荒野から緑の大地そして最後には海を持つ青い星へ変わっていくことを表す。複数の著書が「ヒューゴー賞」「ローカス賞」「ネビュラ賞」などの賞を複数回受賞している。いずれの賞もSF分野やファンタジー分野において世界的に権威のある賞である。

キム・スタンリー・ロビンスンは特に気候変動フィクション(Cli-Fi)の書き手として知られている。すでに2000年代には〈Science in the Capital 三部作〉として、『Forty Signs of Rain』(2004年)、『Fifty Degrees Below』(2005年)、『Sixty Days and Counting』(2007年)、そしてこれら三冊を一冊にまとめアップデートしたオムニバス版『Green Earth』(2015年)(いずれも未訳)を著した。

また、『2312』(2012年)や『New York 2140』(2017年、未訳)を発表。前者では、24世紀の太陽系で多くの惑星がテラフォーミング(地球化)されていて人間が住んでいる世界が描かれる。後者は、15mの海面上昇に見舞われ、街の半分が水没する2140年のニューヨークを舞台にしている。いずれも、物語を通して地球環境危機に対する多くの問題を提起している。

それに続く本書『未来省』(2020年)は、現代から2050年代ぐらいまでの近未来の地球が舞台だ。

作中、架空の国連組織「未来省」が本部を置くスイス・チューリッヒの様子が多く登場する。キム・スタンリー・ロビンスンは、新婚当初、妻がスイス工科大学(ETH)の農薬・廃棄物処理部門でポスドクとして勤務していて、1986年と1987年の2年間をチューリッヒで過ごしていた。

本書は発刊以来世界中で大きく評判になり、多くのメディアで取り上げられている。インタビューやイベント講演に関する記事・ビデオも多く公開されており、積極的な発言を続けている。

2021年11月には、イギリス・グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)に招かれ、パネルセッション「Futures Lab : Transformational Economics meets Transformational Leadership」で発言した。

参考情報

Wikipedia英語版
https://en.wikipedia.org/wiki/Kim_Stanley_Robinson
Facebook グループ
https://www.facebook.com/kimstanleyrobinson
有志による情報サイト
https://www.kimstanleyrobinson.info/

キム・スタンリー・ロビンスンの本

『ブルー・マーズ』(
キム・スタンリー・ロビンスン 著
大島 豊 訳
創元SF文庫 2017年



『2312 太陽系動乱』(
キム・スタンリー・ロビンスン 著
金子 浩 訳
創元SF文庫 2014年